おっさんずラブの脚本家さんはBL小説でも書いていらっしゃるのだろうか

おっさんずラブ6話を観た。

 

私は只の腐女子なので、性別、年齢を超えた愛とか深いことは特に考えずBL作品としておっさんずラブを楽しんでいる。

 

BL作品における大きな問題の一つがノンケとゲイの間にある壁だと常日頃から思っているのだが、6話ではそれが顕著に現れていて思わず唸ってしまった。

 

牧は春田と付き合うことになって幸せを感じながらも、ゲイである自分とノンケの春田は違う人種だとどこかで思っていて、もやもやを抱えていたのではないだろうか。それでも春田の見え隠れする牧への思いに少しずつ不安が解消されていって、牧が心の底から幸せだと思える日が来ると信じていた...来て欲しかった...のだが、牧の不安が解消される前に新たな不安要素が次々と降ってきて結果的にああなってしまった。

 

ちずが牧に「春田に告白してもいい?」と聞いた時、牧は本当は「やめて欲しい」と言いたかったのだろう。でもノンケの春田はゲイの牧と違って女の子と恋愛ができる、ちずと幸せな家庭を作ることができる、その方が春田にとっては良いのではないか、勿論春田がちずの告白を断り、牧と付き合いを続けるという決断をしてくれるという期待も少しはあったと思う。だから牧はちずが春田に告白することを止めることが出来なかった。この日から牧はちずがいつ春田に告白するか気が気でなかったのではないかと思う。そして遂にちずが告白する時が来て、メンタルが弱っている牧に春田母のあの言葉がグサグサと刺さり、春田とちずが抱き合っている場面を見てしまい完全にノックアウトされてしまう。とても辛い。辛すぎる。

春田母は全く悪気がないし悪気がないからこそとても鋭利な刃物となって心を突いてくる。そして牧はノンケを好きになることの辛さを思い知る。

もし春田がゲイだったら、ちずの告白も春田母の言葉も牧をあそこまで苦しめることは無かったであろう。

 

そして牧は春田と別れることを決意する。別れるのは春田の為であると同時に牧の逃げでもある。心臓が痛い。痛いし辛いけどこの別れは春田と牧にとって必要なものなのだと思う。きっと牧が別れを切り出さなかったとしても、春田が牧の別れを頑として受け入れなくてズルズルと付き合うことになったとしても、牧の中にもやもやは残る。結局牧は春田のいない、春田に見られないところで一人で泣くのだ。春田が牧と距離を置いて、冷静に考えて、それでも牧が好きだ、牧と一緒にいたい、となればきっとそれがノンケとゲイの間の壁が消え去った、純粋な春田と牧の関係になるのだろう。

 

 

ここまで書いて来て何が言いたかったかと言うと脚本家さんとか俳優さんとかスタッフさんとかみんな本当にすごい。特に脚本家さんはBL小説でも書いていらっしゃるのかと思う程腐女子の心に刺さるものを熟知している。今の関係のままじゃダメなのかとか、彼氏とか彼女とか、カミングアウト云々の春田と牧の噛み合わない所とか、ノンケとゲイの恋愛教科書かと思った。

円盤化した際には是非特典に複製台本をつけて欲しい。愛読書にします。